不安のない老後生活を迎えるためのご提案

第2回 驚愕の事実「超高齢化社会」に待ったなし!

2016年6月30日付け北海道新聞の第1面に国勢調査速報についての記事が掲載されました 。その衝撃的な見出しは、65オ以上、4人に1人超」(全国平均)という記事でした。

北海道の高齢者人口の割合(高齢者割合)は、全国平均と比較してもご想像のように出非常に高く、実に道民口人の約3割にも到達しようとしています。

国勢調査の結果内容をもう少し詳しくご紹介致しましょう。

将来的にも歯止めが利かない「高齢者割合」の上昇

皆さんも良く耳にされるように少子化が急速に進む現本在。の全日国的に見ても総人口の減少に伴「高齢者割合」はこれからも益々上昇を続けてしまいます。

統計学的には、2035  年(約18年後)での「高齢者割合」は、日本の総人口の約33.   4 %にも到達してしまうことが予測されております 。

それは、国民の 3 人に 1 人が 65オ以上の高齢者となる危険な社会構造となることを意味します。

その後2042(約25年後)年を起点として、高齢者人口の増加はようやく落ちつきを見始めますが、もともと出生率が落ち続けている日本では、「高齢者割合」を算出する際に「分母」に用いる総人口が一気に  増える見込みがありません。

何とか少子化にストップをかけなければ、2060年には「高齢者割合」は約40%にまで達する予測となっています。そこまで、考える必用もないのかもしれませんが、43年後には全国民約2.5人に1人の割合で65才以上の高齢者という恐ろしい現実が待ち受けているのです。

2010 年以降、生産人口も一方的に減り続けている「その先の世界」とは?

「少子化現象と高齢者率の上昇」その先には一体何が・・・
掛かり付けの病院で亡くなることも許されなくなるのかも?

少子化現象は、社会経済やその構造、家族間のコミュニケーションの変化などが複雑に絡み合いながら生み出されている現象です。その有効かつ即効性のある解決策は今のところ見つかってはいませんが、差し当たって私達の老後生活に深く関わり合いを持つことは明らかです。

その影響を顕著に感じたのが、数年前に亡くなった私の母の身に生じた「終の棲家」の問題でした。

この時の経験以来、「人は(交通)事故以外で亡くなる場所は病院」といった、私のかつての既成概念は大きく覆されたのです。

ご承知の方も多いと思いますが、少子化による日本の財政難の影響は、社会保障費削減へと目を向けられ、今や医療費抑制や病院経営維持のために患者の入院期間を極力3ヶ月以内に制限する病院が増加してきております。

入院初期は心臓病を患い入退院を繰り返していた私の母も、ある時点から軽い認知症も併発し、常用的な介護が必用となり、とうとう長期的な入院生活を送る様態へと変化してしまいました。

そのような状況ともなると、ご多分に漏れず病院側から他の病院又は介護施設への移転を勧められ、様々な病院や介護施設を紹介されました。しかし、心臓病のことを中心に考え、違う病院を選択した場合でも3ヶ月後にはまた移転先を見つけなければいけません。

何度となくケアマネージャーと相談し、どの施設へ移転させたら良いのか決めあぐんでいた時、紹介されたのが某病院でした。この病院では、病院長の方針により3ヶ月以上の長期的な入院をも認諾し、引き受けてくれているというのです。

私と家族は諸手を挙げてこの病院へと飛びつきました。こうしてこの病院へ移転後1年程で、母は不自由なく静かに永い生涯の終止符をこの病院で迎えることが出来たわけです。

私と家族はとても幸運でした。もしあの時、結果的に「終の棲家」となった病院のご紹介がなかったら・・・そう思うと正直ゾッと致します。何度も病院を転々と移転させられていたでしょうし、その間、母の容態も急変していたかもしれません。又、移転の度に私達への負担はかなり大きなものとなっていたでしょう。今更ながら、当時の担当ケアマネージャーへ感謝の意を称したいと思います。

また、少し違う確度からではありますが、病院へ対して不安を抱いた経験があります。義理の祖母は、高齢で自立生活が全く出来ないため介護施設で暮らしていました。

いよいよある日、体力の低下から「胃ろう処置」をすべきか介護施設から打診を受けた時の話しです。家族会議の結果、「胃ろう処置」をして貰う事に決定となったのですが、ところが、その処置が行われる数日前、祖母の様態は急変して緊急病院へ搬送される事態となったのです。

色々な検査と点滴が施された後、家族が揃った面前で担当医からの説明がありました。

「今回の急激な衰弱は特定した病気によるものではなく、老衰から生じたものなので何も処置することが出来ません。このまま経過を観て頂くしかなく、つまり、入院して頂く事も出来ないということです。」

正直、家族としてはこの先どう対処したら良いのかショッキングな内容でした。介護施設のスタッフの方か らも緊急事態の再発を恐れて入院させて欲しい旨を懇願して頂いたのですが、やはり対応しては貰えず、結局、介護施設へとトンボ帰りで搬送され、「胃ろう処置」もされることなく、数日後に介護施設で生涯を閉じました。

病床に限りがあることなので、病院の対応は致し方ないと十分承知しておりますが・・・

今後は、日頃から最終的に静かに生涯を閉じることが可能な「居場所」も想定しながら、その情報を集め、病院も選択していかなければいけないのかもしれません。

最期の「居場所」の選択

ご存じのように負債大国日本では、比較的安価に介護生活を暮らせる施設「特別養護老人ホーム」(以下、「特養」と表記)を増やしていける見込みは現実的に言っても「皆無に等しい」と言えます。

そして、現在でも「特養」入居を希望する待機者は大挙の列を成し、更に相まって、医療の進歩が日本人の平均寿命を押し上げ続けていることから、「特養」の入れ替わりサイクル期間は、より一層延長化されることが現実として起き、私達が老後生活を迎える頃も「特養」へ入居することは、極めて困難な状況であると推測されます。

反面、「特養」の件数不足を埋めるようにサービス付き高齢者向け住宅については、政府の建設補助金制度などの後押しもあり、近年の新築並びに登録件数については、次の図が示すように右肩上がりに増加しています。

サービス付き高齢者向け住宅の定義と登録状況

最近では、提供されるサービス内容に関しても施設毎に工夫が凝らされ、充実したシニアライフを過ごすことを可能とした物件も現れ初めています。

しかし、問題なのは、やはり「利用料金」。その一言に尽きるのではないでしょうか?

(上図 国土交通省 住宅市場の調査報告書より抜粋)

現時点でのご高齢者は、高度成長期やバブル時代を経てきており、生活資金のストックに余裕がある方も非常に多く、毎月高額なサービス付き高齢者住宅費用を難なくお支払い可能な方も多いことでしょう。

しかし、問題は次世代。

長期的な経済低迷期を経て辛酸を舐めてきた方が多い世代へと移り変わった時、果たして、現時点での高齢者と同様な生活スタイルで暮らすことが可能なのでしょうか?

一般的に考えて、年金収入しかない老後生活を支えて貰う最期の砦となるのは、「子供」ということになります。しかし、現代はその「子供」が存在しないご夫婦が年々増加しています。

「子供」が存在していたとしても、昨今の社会情勢の煽りを受け、非正規雇用者となって収入が安定していない場合や定職に就いていない場合など・・・とても援助を求める状況にもない可能性も大いにあり得るのです。

サ高住の入居費用の現実

ここで、「高齢者住宅」についての利用料金の実情について、少し触れさせて頂きたいと思います。

「高齢者住宅」は、そのサービス提供や施設の環境により、多岐に渡って分類され、利用料金も利用される施設のタイプによって格段の差が生じてきます。

今回は、その中でも「サービス付き高齢者住宅」(以下、サ高住と表記)に的を絞り、その実情についてご報告を致します。

(下図 国土交通省 住宅市場の調査報告書より抜粋)


純粋な「家賃相場」の平均値を示していることになります。
上の図は、国土交通省が発表しているサ高住の月額料金。その全国平均についての資料です。但し、上の平均料金には、食事等のサービス代金は含まれておりません。

実際のところ、別途料金として最低限「食事代」が必要となります。食事も施設によっては、1日3食を提供するところもあれば、1日2食朝食と夕食のみとして、昼食は別途自費で賄うところもあります。

札幌市内のサ高住に認定されている施設の約50施設を任意にピックアップし、その入居案内書から「食事代」の平均価格を割り出したところ一ヶ月で約44,000円という数字でした。

(但し、これは1日2食の施設も含んで平均しておりますので、1日3食とするならば月額約50,000円と考えた方が良いでしょう)

上記グラフの注釈には共益費を含む料金と表記されていますが、この共益費(管理費)についても、施設によって、非常に料金のバラツキが多いところでもあり、月5,000から約36,000円と施設の特徴やサービス内容によって大きな差が生じてきます。

そして、ここが格段に低価格の施設は、介護サービス費として別枠の必用料金設定をしている施設が多いのが目立ちます。更に、北海道の施設の大きな特徴として、冬期間に暖房費を別途徴収している施設も非常に多いのです。

又、施設によってサービスや施設利用料金の設定はまちまちとなりますが、水道・光熱費。中では洗濯機利用料、お風呂の入浴料に至るまで別料金として入居費用に加算される施設も少なくはありません。

そう考えていくと食事を含んだ利用料金は、最低でも一ヶ月約15、6万円。

これに別途サービスを受ければ、料金が加算されると思った方が良いでしょう。

料金はさておき、サ高住において一番心配なのが調理を自由に出来ないという点です。食事が付いて上げ膳据え膳なのは、非常に良いことのように感じますが、自分の好き勝手に調理が出来ない・自分の好きな物が食べられないといことにストレスを感じる方も少なくはありません。

又、人間にとって「食事を取る」という行為は、元気に生活を送る上で非常に大切な行動でもあるのです。

「今日は何を食べようか?」と自由に発想して食事を取ることに思いを馳せる行為は、少なからず脳に刺激を与えてくれます。

そして、料理をする作業では、食材を考えたり調理の手順を思い出したりする事が必用となり、更に脳に良い刺激を与えて老化現象(ボケ)を防ぐのにはとても重要な役割を果たしてくれるのです。

料理の機会を奪うということは、調理時の火災事故などの発生を制御が出来るのは確かなのですが、反面、健康寿命を引き延ばす面からすればどうなのでしょうか?考えさせられてしまいます。

そして施設を選択する時に、最も気をつけ理解をしておかなければいけない点が、施設毎に入居可能な条件が設定されている事。つまり、施設で許容する要介護の認定度合いや認知症の状態が異なっており、差があるという点です。

更にこれは、施設が定める要介護認定度合いの限度以下の状態で入居しても、入居中に介護状態が悪化してその限度を超えてしまった場合は、施設からの退去を余儀なくされ別の施設へと転居を求められるということを意味します。

つまり、サービス付き高齢者住宅は、最期の居所「終の棲家」となり得る可能性が非常に低いことを意味するのです。

次回では、今後予測される高齢者「住まい」の問題や「生活資金」に関して詳しくご説明を続けたいと思います。