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第4回 相続手続きには不可欠な事実証明

皆さんこんにちは、行政書士の小松です。

前回(3回目)では、 “ 期限 ”  について詳しくご説明致しました。

内容は、相続税の申告期限を “ 甘く考えてはいけません! ”  といったような内容でした。

今回はまず、「法定相続人」というのは、一体誰のことを指すのかということからご説明を致します。

意味の取違いが、トラブルを引き起こす!

ご家族のどなたかがお亡くなりになった時、「法定相続人」の意味を知っておかないと、遺産相続手続きが始められません。更に、ここの勘違いからトラブルが生じてしまいます。

「法定相続人」とは、身内の人が集まって “ じゃ、あなたが適任だから、あなたが法定相続人になりなさい ” と、勝手に決めるものではない。

そんなことは、皆さんも十分ご承知だと思います。

しかし、相続をする権利が無いのに関わらず「もう、使用する人もいないでしょ!」と言いながら、勝手に遺品や遺産を持って行ちゃう人が、この世の中には実際いるんですよ、お気を付け下さいね。

では、法定相続人ってどうやって決めるのでしょうか?

実は、決めるのではなく、 “ 調査して確定する ” が、正しい答えになります。

まず、亡くなられた方(被相続人)の血筋の方の調査を始めます。そして、“ 法定相続人が誰になるのか? ” 調査をしながら、確定していきます。

被相続人の血筋の方。その中で、第一順位として “ 相続をする権利(相続権) ” を得るのは、皆さんも良くご存じ “ 子孫 ” ですよね。しかし、ここでご注意!

それは、“ 現状のお子さんだけとは限らない ”  ということです。

残された奥さん(夫)には、たまった話しではないのですが、 “ 再婚ということを打ち明けてなかった ” “ 子供がいたことを黙っていた ” ということも、現実には起こり得るのです。

更に、“ 子孫 ” に該当する方は、本当に血の繋がった実子だけとは限りません。血縁関係がない“ 養子縁組 ” をされた方も相続権を得る対象者となるのです。

このケースの多くは、結婚相手に連れ子がいた場合に生じます。

ご結婚された時は、その子達の将来も考え、養子縁組をして同じ戸籍に入れるのですが、その後、離婚をしてしまった。或いは、ご結婚、相手と死別して、再婚をした。なんてことは、この世の中にはざらにあるのです。

又、農家や自営業の方ですと、将来の「跡取り問題」を解決したいがために、養子縁組の制度を利用される方も沢山いらっしゃいます。

被相続人の過去にそういった事情がなかったかどうか?明白に確認をするためには、亡くなられた方の “ 戸籍謄本 ”  を過去(出生)まで遡って、全て取得して調査をするほかありません。

戸籍謄本調査の結果、子孫が一人でも存在していたら、子孫が「法定相続人として確定!」です。つまり、遺言書がない限り、親や兄弟には法律上の“ 相続権 ” が一切発生しません。

子孫が誰一人いない場合に限って、親(祖父母)へと “ 相続権 ” の移動が生じます。

この場合も先程と同様、誰か一人でも存在していれば、権利の移動はそこで “ ストップ! ” 親(祖父母)が 「法定相続人として確定!」ということになります。

更に、子孫も親(祖父母)も誰一人存在しない場合に限って、被相続人の兄弟姉妹へと “ 相続権 ” が移動します。そこで、兄弟姉妹が「法定相続人として確定!」ということになるのです。

なんですが、子孫又は親が存在しているのにもかかわらず、 “ 私は、肉親だから相続権があるのよね・・・ ” といった大きな勘違いから、トラブルへと発展させてしまう、兄弟姉妹の方が世の中には、沢山いらっしゃいますので十分にご注意下さい。

配偶者は特別扱い!

先程の法定相続割合については、皆さんも良くご存じでしょうし、書籍などでも必ず紹介されていますから、あえてここでは説明を致しません。

(このコラムは、勘違い(思い違い)が起こりやすい点について、その法律の理解の仕方について、詳しくご説明させて頂くことが主旨ですので・・・)

で、ここで一つ大きな “ 疑問 ” が、湧きませんか?

基本的に “ 法定相続人 ” とは、被相続人の血筋を持つ方となります。それはそうですよね、同じ血が混じった方を優先させて遺産を引き継がせるのは、ごく当たり前のことです。

では、 “ 配偶者は? ” と、いう疑問が湧いてきますよね。

だって、配偶者には、同じ “ 血 ” が一滴も流れていないのですから・・・しかし、一方でこんな考え方もできるのです。

被相続人の資産(遺産)が築かれた重要な要因として・・・

“ 配偶者は互いに扶養扶助の義務を果たしながら、資産(遺産)形成に大きく貢献した ”

だから、血縁関係ではないことを盾に、配偶者を蔑ろにしてまで、資産(遺産)を取得させないということは、社会通念上、とてもおかしなこと。そう考えるのが、人の道ではないでしょうか?

こういった事情を背景に、配偶者には “ 常に相続人 ”  という特別な地位を与えたのです。

この “ 常に ”という言葉の重みが、他の法定相続人には存在し得ない(権利の移動がなく、不動の地位を指します)、非常に重要な役割を果たしているわけです。

ここまでで、 “ 法定相続人 ” は誰?ということについて、お分かり頂けたと思います。しかし、問題はここからなのです。

相続財産の中には、名義変更や解約をしなければならない遺産が、この世には数多く存在します。例えば、不動産や自動車などの動産の所有権。預貯金や金融証券、ゴルフ会員権・・・・

一体どうすれば、これらの手続き上の問題をスムーズに解決することが出来るのでしょうか?

第 3 者への “ 事実証明 ”

さて、ここでお話しの趣向を変えて、ちょっとだけ回り道をしてみましょう。

“ 事実証明 ” をするということについて、分かり易いようにご説明をさせて頂きます。例えば・・・

あなたに欲しい商品があって買いに出掛けたとします。ところが、その商品が “ あいにく品切れ ”。仕方なく、店員Aさんに“取り寄せ注文”をし、その代金を先に支払いました。

後日、商品到着の連絡を受けたあなたは、その商品を受取りに出掛けました。しかし、店内に店員Aさんが見当たりません。どうやら、今日はお休みの様子。その時、あなたならどうなさいます?

心配することは何もありませんよね。仮に、店員Aさんがお休みの場合であっても、買った時の領収書と注文票を店員Bさんに見せれば、何のことはなく、商品を簡単に受け取れます。

でも何故? あなたは商品を無事に受け取れたのでしょうか・・・

それは、先日、あなたがそのお店で商品を買い、代金を支払った事実。

つまり、 “ 代金支払済 ” と “ 注文商品はあなたの物 ” であるという2つの事実を、証拠書類( 領収書・注文票 ) を提示し、そんな事情を全く知らない店員Bさん。つまり、第三者に対し、その“ 事実 ” を認めさせた。と、言い換えることが出来るのです。だからこそ、あなたは商品をスムーズに受け取れたわけです。

それは、とても日常的でよく見かける光景の一つ。なんですが、相続手続きの問題を理解する上では、非常に重要な手掛かりとも言えます。

相続手続きには、2つの事実証明が必要

相続手続きをする場合も同様のことが言えます。被相続人名義の預金口座を解約する場合には銀行が、家や土地に関しては法務局が、前述の店員Bさん。つまり “ 第3者 ” に匹敵します。

“ 法定相続人 ” は、その第3者に対して “ 証拠書類 ” を提示し、 “ 遺産を受け取る権利 ” を承認させなければいけません。

でも、「相続」には、先程の様に領収書も注文票も存在しません。その代わりとなる “ 事実証明をするための証拠書類 ” (以下、事実証明書類と称する)が、必要となってくるわけです。

それが、次の2つです。

  • 住民票や戸籍謄本(被相続人と法定相続人の全員分)【法定相続人であることの事実証明書類】
  • 遺産分割協議書 【法定相続人全員で、誰が何の遺産を受け取るかを決定した事実証明書類】

(※但し、一部の銀行では、銀行所定の用紙を協議書の代用とする場合があります。)

大切な被相続人の財産を守る立場の銀行や法務局等は、あなたのご家族の事情について、全く知るよしもありません。

ですから、遺産の引き渡しや名義変更には、とても慎重にならざるを得ないのです。(責任問題が生じますからね)

例えば、単独で相続人の誰かが銀行の窓口へ行き、被相続人のお金を引き出そうとしても、あっさりと断られてしまうでしょう。

何故なら、一部の相続人の言葉を鵜呑みにして、 “ 事実証明書類 ” も確認もせずに、請求通りに大切な遺産を渡してしまったとしたら・・・その後一体どんなことが起きるでしょう?

そんな請求を知らなかった、認めていなかったと、他の法定相続人からのクレームが押し寄せることが容易に想像できます。だからこそ、受け取る権利を認めて貰う為には、 “ 事実証明書類 ” の提出が必須なのです。

そこで困るのが、上記のうちの1つ “ 遺産分割協議書 ” の作成です。

遺産分割協議書を作成するには、遺産の分割(分配)内容について “ 法定相続人 ” 全員が同意していることが条件となります。(同意の証拠には、実印の押印・印鑑証明書の添付が必要です)

全員ですよ!

一部の人でも欠けていた場合や多数決で決めました。

そんなんでは、法律上「無効」となってしまいますからね! 十分にお気をつけ下さい。

この辺が、非常に厄介な問題となるのです。

例えば、4人の法定相続人のうち、3人が分割協議に賛成しても、残りたった 1 人が首を横に振ったら、遺産分割協議はそれ以上前には進みません。

法定相続人を一同に集め、話しを一気にまとめたいと考えても、法定相続人の人数が多いと、それぞれ、ご家庭や仕事の事情がありますから、その日時設定から困難な作業となってしまいます。

まして、被相続人の戸籍を辿ってみたら、全く予期していなかった法定相続人が出現した。なんて、こととなってしまったら・・・・?

今まで一度も会ったこともないような方と、いきなり遺産分割の交渉をしなければなりません。

「財産目録」なしでは、話しが始まらない!

そんな中で、話し合いの結論が簡単に導きだせるものでしょうか?

最終的に法定相続人の間で、「法定の相続の基本的な割合通りに分割する」と結論づける方向へ導こうとするにしても、以下の2つの作業を事前にしておく必要があります。

  • 遺産として一体何が実在するのかを全て把握し、誰でも分かるように一覧にする作業。
  • 遺産に不動産や動産、株券などが含まれる場合に、平等に分け合いたい。或いは、分割内容の提案に説得性を持たせたいと考えるならば、遺産全てを貨幣価値に換算する評価作業。

折角、法定相続人が顔を合わせ、膝を交える場を設けたとしても、集まった皆さんに、先の2つ内容を説明できなければ、話し合いの土台もハッキリと見えず、勿論、話し合いの “ 落としどころ ” についても、皆目検討もつかなくなることでしょう。

そして、集まったことが全くの無駄となる危険性が非常に高くなってしまいます。

つまり、法定相続人の全員が納得する結論をスムーズに導き出す前提には、「遺産の評価」(財産目録)の作成が必要不可欠となるわけです。

では、次回では相続手続きの流れについて、もう一度順序よく整理をして、この辺のご説明も交えながら解説を続けると致しましょう。

第3回 身を滅ぼしかねない借金の重み

皆さんこんにちは、行政書士の小松です。
前回(第 2 回目)では、法定相続人には、遺産相続の権利が発生するとご説明致しました。
そこで、一つの疑問が湧いて来たんでしたよね。
じゃあ、借金(債務)についても引き継ぐ、引き継がないを自由に選択することが出来るのか?といった内容でした。

結論から言うと、選択は可能です。

但し、皆さんも聞いたことがあると思いますが、相続放棄という手続きが必要となります。
相続放棄をしようとする者は、相続の開始を知った時から 3 ヶ月以内に家庭裁判所で申請をして、許可を取らなければなりません。 “ しなければならない ” は、何でしたっけ? そうでしたよね、義務を表すんでしたよね。
社会のルールでは、義務を怠ると何らかの制裁(処罰)を受けることになります。
この場合の制裁に該当することって、一体なんでしょう?
“ 相続放棄の権利を喪失する ”ということです。つまり、3 ヶ月を超えた場合、基本的には申請しても、相続放棄を認めて貰うことが出来ない状態になってしまうということなのです。

法律は私腹を肥やせるように出来てない

前記のように、相続放棄の権利を喪失した。或いは、相続財産の一部でも受け取った(処分をした)場合、法定相続人は、被相続人の財産の相続に関して、“ 単純承認をした ”と見做されます。
つまり、相続人は、“ 全ての財産や権利義務(債務や借金等含む)を引き継ぐことを認めた ”ということになるわけです。

例えば、故人の預金を銀行から引き出し、お葬式費用に充てた。といったケースでも、“ 単純承認をした ” と見做されてしまいますので、被相続人がどれだけ借金をしているかよく分からない場合は、十分に注意が必要です。

例外として、「限定承認」という方法もありますが、手続きが非常に煩雑で、裁判所の承認自体もかなりハードルが高くなるため、現実的な方法とは言えません。

日本の社会では、難しい言葉でいうと「包括承継主義」と言って遺産を引き継ぐなら、債務(義務・借金など)も全て引っ括めて引き継がなければなりません。

故に、遺産の一部だけを “ こっそり ” と受取りながら、
「遺された借金からは、何としてでも逃れたい」と必死に願っても、それは、不可能。
自分に都合の良いことだけを望んでも、なかなか許して貰えないのが、社会の常ということですね。

ハッキリして頂戴!

では何故、3 ヶ月という期限を切って “ 相続放棄をする人 ”に、申告を義務付けたのでしょう?
これを理解するには、債権者側の立場に立ってみるとよく分かります。

例えば、仮にあなたが債権者だと仮定致します。ある日、債務者が亡くなったことを知ったあなたは、法定相続人を調べ、それが誰なのかを何とか突き止めたとしましょう。
しかし、その法定相続人。なかなか、相続するかどうかのハッキリとした決断を下しません。
その間、正式に請求が出来ないあなたは、ただただ指を咥えて、その返答を待つしかないのです。

どうでしょう、こんな状態を延々と何年も続けられたとしたら? とてもイライラしますよね。
「もういい加減諦めた方が・・・」と思っても、なかなかその決心もつきません。そ して、こんな不安定な状態で長く放置されると、大きなトラブルや事件にも発展する可能性が十分に出てきます。
又、社会経済(お金の循環)から考えても、決して良いこととは言えません。

そこで、債権者保護(債権者の権利を守る)の観点からも、法定相続人に対して相続をする・しないを早く決断させるため、3ヶ月という短いスパンで、相続放棄の権利を喪失させるための “ 期限 ” を法律で定めたわけです。

大変な目に遭わないよう、 “ 期限 ”を理解しよう!

相続手続きには、もう一つ重要な “ 期限 ” があります。
それは、相続開始から 10 ヶ月という相続税の申告期限です。
相続税の申告では、全ての遺産合計額(不動産や動産、有価証券等の換金性があるものについては、その評価額をも含めます)。
つまり、課税対象となる遺産合計額が、非課税となる基礎控除額を下回るようでしたら、税務署へ申告書を提出する必要はありません。

逆に、基礎控除額を上回った場合、基本的に税務署への相続税の申告が義務づけられていますが、気を付けなければいけないのが、相続税を申告する場合に、配偶者控除を筆頭に小規模宅地等の特例等、いくつかの特例税額控除を受ける権利が発生する可能性があることです。

ここで、ご注意して頂きたいのが、ご自分で遺産合計額を計算し、特例の税額控除額を差し引いた。その結果として、課税対象の 遺産合計額が基礎控除額を下回った場合の対処方法です。

ここで、「あ~良かった。課税遺産合計額が基礎控除額を下回った。 これで、申告書を書く必要がない」と、勝手に判断をしちゃダメですよ。

何故なら、それはあくまでも特例の税額控除を適用させた上での計算金額ですので、税務署にその適用させた特例が一体何であるか、又、その特例を適用させた根拠とその根拠を証明する添付書類(事実証明書類)を一緒に作成した上で、税務署に提出申請をし、それを税務署に承認して貰う必要性があるのです。

つまり、申告書類上では相続税の納税額が、最終的に “ 0円 ” となる場合であっても、申告書と必要な添付書類は、税務署に提出し確認申請をする義務が発生するということです。

何故、そんなことになるのでしょうか?
先程も述べましたが、特例を受ける行為は、 “ 権利 ” なのです。
(権利って何でしたっけ?これからも沢山でてきますよ・・・)
そして、日本の行政は、基本的に「申請主義」によって機能しているのです。
つまり、 “ 権利 ” があること、それを実行することを申請(申告)しなければならないということです。それには、事実証明をしなければなりません。(事実証明については、次回でご説明します。)

申告期限を甘く考えてはいけません!

そして、最大の問題点が、相続税は10ヶ月以内に申告することを義務化されていることです。
何度も申し上げるようですが、義務には制裁がつきものでしたよね。

この申告期限を超えてしまった場合の制裁とは、一体何でしょう?
その一つは、 “ 特例控除を受ける権利の喪失 ” なのです。
つまり、特例を受ける権利があるのにもかかわらず、うっかり申告をせずに10ヶ月を超えてしまうと、もう納税金額を下げて貰う手立てを失ってしまうということなのです。

前述したように、ご自分で特例控除を含めて計算した結果として、基礎控除額を下回ったから申告をしなかったというような場合も同様となります。
数年後に万が一、税務調査で職員が訪れた場合、間違いなく
「申告書の提出を怠った」と判断されてしまいますから、言い逃れすることが出来ません。

特例控除はおろか、更に追徴課税金も加算され、目も当てられない程の多額の税金を納めなくてはならない羽目となってしまうのです。

これまでのご説明で、皆さんにも “ 権利 ”と “ 義務 ” と “ 期限 ” という言葉の裏には、実は、重大な意味が潜んでおり、互いにとても深い関係性があることを、十分ご理解頂けたかと思います。

ところで、先程、事実証明という言葉が出てきましたね。
次回は、事実証明とは何?ということについてご説明致しましょう。

第2回 誰も教えてくれない、「法定相続人」の真実!

皆さんこんにちは、行政書士の小松です。

第1回目のお話しでは、「法定相続人」「法定相続人以外の人」の関係を図式化してご覧頂きました。皆さんには、あまりも簡単すぎました?

ここから徐々に中身を濃くしていきます。期待して読んで下さいね。では、まず皆さんへ

「法定相続人」とはどんな人?

こんな質問から始めさせて頂きます。どうでしょうか?

「そりゃ~あんた、法で定められる相続人のことだよ」ですって?

おみごと ! ご正解です。

ただ、もうチョット説明としては、言葉を付け加えた方が良さそうですよね。何といっても、皆さんは、「シニアライフカウンセラー」なんですから・・・

では、こう答えてみてはいかがでしょうか?

「法によって決められる、遺産を受け取る権利を得る人」

どうでしょうか、少しは説明として様になってきた感じがしませんか !?

「権利」って、何でしょう?

さて皆さん、ここで突然、「権利」という言葉が登場しました。  口喧嘩で 「あんたになんか、そんなこと言う権利ないわよ!」と、良く出てくるあのフレーズ。

日常会話でも良く出てくる言葉の一つでもあります。

それでは、皆さんに1つお願いがあります。

この「権利」という言葉を、小さな子供でも理解できるように説明をしてみて下さい。

「6才の子供に説明ができなければ、理解したとは言えない」

天才 “ アインシュタイン ” は、こんな素晴らしい名言をこの世に残しています。

何でこんなお話をしているのかと言いますと・・・

実は、法律(  特に民法  )の創られる根底の部分。

法律が創設される大きな理由の1つに、この「権利」を尊重する意図が存在するのです。

言い替えると、「人の権利を守る(尊重する)為に、世の中の多くの法律は創られている」と言っても過言ではありません。

ということは、法律を理解する上では、非常に重要な「キーワード」となるわけです。

では、先程の質問に戻りましょう。 どうでしょうか、上手く説明ができそうですか? 私たちが日頃、何気なく使っている言葉なんですが、いざ説明するとなると・・。

「・・・・ん? い、意外と・・・ム、難しい・・・」 そうですよね、そのお気持ち・・・十分にお察し致します。

では、1つ “  大ヒント ”  を差し上げましょう。大抵の言葉には、反意語というものがあります。つまり、反対の意味を持つ言葉です。

そこから、考えてみると分かり易いですよ。

「権利」の反意語は、「義務」という言葉です。ほら、「義務」という言葉だったら、何とか説明がつきそうですよね!

ハイ、そうです。  「義務」とは、「何々をしなければならない」という意味です。

ここで、注目! 「義務」には、自分の意思によって “ 選択をする余地がない ” という点です。

では、本題の「権利」という言葉の意味はどうでしょうか? 「義務」の反対の意味なのですから・・

ハイ、そうですね。 「何々をしても良いし、何々をしなくても良い」という意味です。

つまり、 “  自分の意思によって、選択が可能な状態 ”  を表現しているわけです。

この二つの言葉は、「法律」や社会のルールと密接な関係を保ちながら、私達はその状態を守られている(守らさられている)し、又、社会的(周囲の人)にも、公然にその状態を保っている(保たれている)ことが、認められていることを表すのです。

運転免許証が持つ意味とは

ここで、この「権利」と「義務」を我々の身近なもので、例えてご説明をしましょう。

「運転免許」が、正にそれに該当します。

人が公道で車を運転する場合、運転免許を取得しなければなりません。(義務ということですね)

でも、苦労して運転免許を取得した。その後についてはどうでしょう?

免許を取得したからといって、 “ 毎日、運転しなければならない ”

というわけではありませんね。

ペーパードライバーという言葉があるように、免許を取得しても実際には、運転をしない人もいるのです。

つまり、免許を取得した後は、運転をしても良いし、しなくても良い。と、いった状態が法律によって公然に保たれている。

そんな風に、言い換えることが出来るわけです。

ほ~ら、ここに選択の余地がでてきました。(つまり、これが権利ということなのです)

つまり、「運転免許証」は、車を運転する権利を証明する「証明書」なのです。更に付け加えれば、免許には「更新」というのがあります。

世の中の法律によって守られている多くの権利は、大概、「期限」が設けられており、この権利を継続したいならば、「更新」や「届出」をすることが義務として課せられています。

ばかばかしいお話しと感じられたかもしれませんが、「権利」という言葉は非常に重要なので、あえて、ご説明をさせて頂きました。これで、皆さんも「権利」がどういうものか、ご理解頂けたと思います。 そして、この「権利」という言葉が、法定相続人の立場を理解するのには、とても重要な役割を果たすのです。

驚愕!一人歩きし始めたという割合

本題に戻しましょう。ここまでの説明で、冒頭の「遺産を受け取る権利を得る人」(俗に言う相続権の発生)とは、「遺産相続をしても良いし、しなくても良い」選択権を与えられた人である。と、解釈できることがお分かり頂けたかと思います。

 

何故、皆さんに、こんな説明をくどくどしているのか説明しますと、実は、こんな理由からなのです。

私の事務所にあるお客様から、こんなお問い合わせを頂いたのがきっかけです。

「先生のホームページを観て疑問に思ったのですが・・・。仮に、夫が亡くなったとして、妻と子供1人が法定相続人となった場合、家と預金を 2 分の1づつ等分にきっちりと分けなければいけないのでしょうか?」

驚愕しました。

確かに、 12 という取得割合は、私のホームページや相続手続きに関係する本など、どれを取っても、正に「当然!」のことのように書かれています。

いつの間にやら、この   という数字自体が、世の中で勝手に一人歩きを始め、自然と浸透されていたことに気が付かされた瞬間だったのです。

ご察しの良い皆さんには、この質問に対する「解答」について、もうお分かりになりますね。正答は、ズバリ「NO」ということになります。

何故なら、「法定相続人」は、遺産を受け取る「権利」を得るのですから、“受け取っても・受け取らなくても良い”ということになります。これは、解釈のしようによっては、遺産を受け取る割合についても、自由に設定(選択)が可能であることを意味するのです。

つまり、法定相続人同士がお互いに納得をする(ここが、ポイントです)ならば、極端な話、受け取る割合を50対50にしようが、100対0  にしようが構わないということです。

どうでしょうか?このことを理解するには、「権利」という言葉の意味が極めて重要だということが、お分かり頂けたでしょうか?ちゃんと理解ができていないと、こういった解答に辿り着くことが出来なくなってしまうのです。

しかし、ここでもう一つ大きな疑問が湧いて来ませんか?

世の中では、「借金も財産のうち」と良く言われていますよね。財産を受け取るのが「権利」であって、

受け取っても・受け取らなくても良いのであれば、

借金(債務)についても、受け継ぐことは自由・・・??

次の第3回目は、この辺のお話を中心に解説致しましょう。

第1回 思い込みで処理してませんか?

皆さんこんにちは、行政書士の小松です。
皆さんは、シニアカウンセラーの養成講座を受けた時やご自分で終活に関する本などを読んでいる時に、途中にでてくる「法律」が良く理解できず、 「・・・?」 と、感じたことはありませんか?

皆さんと同様。私も「行政書士」を目指して法律を勉強し始めた頃は、活字だけの文章を読んでみても、なかなか具体的なイメージが掴めず、
“ ピント来ない ” ことがしょっちゅうあったものです。

そんな時は、「なんだか良く分からないけど、まっ、いいや!」と、不安を抱きながら、読み飛ばしたことも、しばしば・・・。
そして、よく調べないまま、「こんなことを言っているんじゃないかな?」「こういう意味に違いない!」と、自分の思い込みや勘違いで、“ 間違った解釈 ”のまま通り過ぎてしまったことが往々にしてありました。

しかし、この “ 間違った解釈 ” って、とっても厄介なんです。
残念ながら、他人に指摘を受けない限り、自分で気付くことがなかなか出来ないものなんです。何故なら、自分では間違いない!と信じ切っているわけですからね。

皆さんは、これから「シニアライフカウンセラー (SLC)」として、講座や本などで学んだ、その知識や情報を職場で活かしたり、ボランティア活動に繋げたりと・・・色々な場面において活用されるかと思います。
私からも、是非ご活躍を頂きたいと心から願っております。

しかし、充分お気を付け頂きたいのは、
“ 間違った解釈 ”のまま、相談者へアドバイスすることは最も危険な行為!
であるということです。

人にアドバイスするということは、試験の問題なんかで「ヨ~シ、正解だった!」と、勘で当たっていたことを喜んだり、「いや~、やっぱりそうだったのか、残念!」と、悔やんで済む問題ではありません。あなたの “ 間違った解釈 ” から発した言葉は、相談者自身。或いはその背後のご家族をも巻きこんで、損失を与えてしまうこともあれば、大きなトラブルへと発展してしまう可能性もあるのです。

そこで、このコラムでは、私自身が過去に抱いた相続に関する法律に関しての疑問。
その一つ一つを取り上げて、皆さんに理解して頂けるように、詳しく解説をしたいと思っております。

皆さんも、このコラムを読みながらご自身の知識と照らし合わせ思い込みや勘違いで処理された“ 間違った解釈 ” がされていないかどうか、是非一度、チェックをしてみて下さいね。では、

こんな質問から皆さんにしてみましょう。

相続講座のテキストや相続手続きに関する本の中で、「相続人」という言葉と「法定相続人」という言葉が、頻繁に出てきますよね。では、この「相続人」と「法定相続人」とは ・・・
同じ人物を指すのでしょ~か?
それとも全く別々の人達を指すのでしょうか?
できれば、頭の中で簡単に相関図をイメージしてみて下さい。

どうでしょう? 今までこの辺で 「・・・・ん?」 と、感じた人はいらっしゃいませんか?
「そんなこと、考えてもみなかった」と、初めて気付かれた方もいらっしゃるかもしれませんね。
「呼び方(言い方)の違いだけなんでしょ?」思いっきり勘違いをしている方、気をつけて下さいね。或いは、「そんなこと、どうでもいいじゃないの!」と、なかば捨て鉢ぎみに思われている方も・・・・

見過ごしがちな「相続人」と「法定相続人」との違い

大概の方は、この「相続人」と「法定相続人」の違いについて、“ぼんやり” としたイメージだけで処理をしてしまいます。そして、“ ハッキリ ” と認識しないまま、思い込みで通り過ぎてしまう危険な箇所なのです。

しかし、相続手続きを無事に行うには、この辺の理解がとても大切なんです。
ここを “ ハッキリ ” と理解しておかないと、ご自分が相続手続きをしなければならない必要に迫られた時、手続きを始めることも出来ません。
そして、財産の引き継ぎ(分配)自体もおかしなことになってしまう可能性があるのです。

まして、皆さんが将来 “ シニアライフカウンセラー ” としてご活躍される上で、周りの人に分かり易く説明をしなければならない。そんな時がきっと来る筈です。
そんな場合でも、慌てずにしっかりと説明が出来るように、この点を明確に理解をしておきましょう! では、解答をご覧下さい。

どうでしたか?
ご自分で想像されたイメージ図と重なっていたでしょうか?
(図形の形は、全く関係ありませんよ。)

ここで重要なのは、「相続人」というのはいわゆる総称であって
その中身は、「法定相続人」と「法定相続人以外の相続人」から形成されるということです。
このことさえ理解されていれば、○(マル)となるわけです。

「なんだ、そんなことか」と思われた方が多いのかもしれません。しかし、単純なことだからかもしれませんが、私が知る限では、こんな風にイメージ図にして解説してくれている書籍は、一つも見当たらないのです。

でも、「いざ、これを人に説明・・・」という時に、こんな図が頭の中に“ ポン ”と浮かんで来なければ、上手く説明が出来ません。
つまり、“ 単純が故に、見過ごしがちな知識 ” となるわけです。

このイメージ図をよ~く頭の中にしまい込んでおいて下さい。数式で表すと、相続人=法定相続人ではありませんよ! 相続人≧法定相続人が正解なのです。

尚、一般家庭では、「相続人」は、ほとんどが「法定相続人」のみで構成されることになります。
しかし、相続財産の内容やご家族の環境によっては、そうならない場合(法定相続人以外の相続人の発生)も実際に起こり得るのです。一体、どんなご家庭なのでしょうか?
そのことについては、いずれ詳しくご説明を致します。

さて、読んでみていかがでしたでしょうか?

こんなこと、「もう知っていたよ」と思われた方には、「ご免なさい」素直にお詫びを致します。

しかし、このコラムの最大の目標は「思い込み」で勘違いされている方に、そのことに気付いて貰うことなのです。このコラムを読んで疑問が解けた、自分の勘違いに気がつけたといった方が、1人でも増えたら幸いです。(率直なご感想を是非、メールにてお寄せ下さい。)

では次回は、「法定相続人」って誰のこと? 第 2 回目へと続きます。

まえがき〜老齢化社会を生き抜くための豆知識

まえがき

シニアライフカウンセラー養成講座を受けられた方、或いは、これから受講することをご検討されている方にとって、一番、とっつきづらいと感じられるのは、やはり “ 法律 ” に関わる分野ではないでしょうか?
しかし、この “ 法律 ” は、私達の日常生活の中に自然と溶け込みながら、社会の常識的なルールの礎(いしずえ)として存在しているのです。
この日本では、常識的なこの見えざるルールを “ 道徳 ” と賞賛し、美化してきました。
ところが、最近の日本社会はどうでしょう?
獸的で陰惨な事件や野放図な事故が日々多発し、その内容もエスカレートするばかり。
残念ながら、 “ 道徳が崩壊されつつある ” と感じざるを得ません。
(続きを読む)
つまり、私達や私達の子供達が、共に安心・安全に暮らせるような世の中を築くためには、今、正に、この“ 道徳 ”を世に復活させていくことが “ 核心課題 ” であるとも言えるのです。
その為には、社会の常識的なルールの礎 “ 法律 ” を正しく理解した上で、周囲の人のみならず、若い世代にも伝導し浸透させていく作業こそが、この問題解決の糸口なのではないだろうか。私はそのように考えております。
そこで、シニアライフカウンセラーとなる皆様に、社会へ貢献するミッションの一つとして、この伝導役を担って頂けませんでしょうか?
そのためには、“ 法律を正しく理解する力 ” がどうしても必要となりますので、皆様には、その力を養成して頂く必要があります。
そこで、その一つの方法として、大半のシニアカウンセラーの皆様がご興味を抱いていらっしゃる “ 相続手続きに関する法律 ” をテーマにし、巷で売られているようなどんな本よりも分かり易く、法律が持つ根底の意味からをも理解して頂けるよう工夫を凝らしながら、回を重ねて読んで頂ければ、 “ 法律を正しく理解する力 ” が自然と身につくことを目標にして、皆様が、とっつきづらいと感じていらっしゃる “法律” について、このコラムを通じ、詳しく解説していこうと考えております。
話は変わりますが、私は「相続に関するセミナー」を過去何度か開いておりますが、ある日、そのセミナーに参加されていた方と、後日、偶然にお会いすることが出来きました。
その時、こんな言葉を頂戴したのです。
「先生のお話しは、本当にとても分かり易かったです。実は、セミナーの次の日、お客様と会って、聞いたお話しをそのまま伝えたら、大変に喜んで頂けました。そして、その方との信頼関係が、より一層深まったと実感することができました。本当に有難うございました・・・」
このお言葉が、私にとって “ どれだけの励みとなったか ” 表現の仕様もありません。
しかし、セミナーはたった1時間程度の時間軸しかありません。
そして、人の集中力が保たれる時間もせいぜい1時間位が限界。私はそう考えております。
しかし、ご説明しなければならない重要なことは山ほどもあるのです。
そして、皆様に理解して頂けるように詳しく説明すればするほど、そんな時間軸だけでは到底追いつかないが現実です。
ならば、皆様の自由な時間に、ご自身のペースに合わせて知識を深めて頂くことが最も合理的と考え、この度、一般社団法人 シニアライフサポート協会 さんに無理を言って、ご協力を得ながら、このコラムページを開設させて頂く運びとなったのです。
是非、シニアライフカウンセラーの皆様には、このコラムページを読んで頂いた上で、“法律を理解する力”を養いながら、その正しい知識をご自身と周囲の方のために、ご活用頂きたいとそう願っております。

まえがき〜不安のない老後生活を迎えるためのご提案

まえがき

シニアライフカウンセラーを受講された皆様にとっては、老後のライフスタイルを「どのように幸福に暮らしたら良いのか」という点について、最もご興味を抱かれていることと思います。

一般的に高齢期に達すると、とかく心身の衰えを理由に不活発な行動状態へと陥りがちとなってしまいます。しかし、この状態から何かしらの方法によって離脱しなければ、いつしか「不健康期」へと入り込んでしまい、将来的に「要介護時期」を迎えるリスクを高め、その期間までをも長期化させてしまう危険性が生じてしまいます。

時に、2016年9月19日(敬老の日)の北海道新聞に「超高齢化社会の絆」と題し、「健康寿命」を延ばす生活習慣の改善と社会活動への参加。そして、「ソーシャルキャピタル」の重要性についての記事が報じられました。
(*「ソーシャルキャピタル」の詳しい解説は、こちらから厚生労働省のページをご覧下さい)

日本人の平均寿命が徐々に延び続ける中、「健康寿命」についても如何に延ばしていくべきなのか、その重要性について以下のような内容が掲載されています。(*但し、要約をした内容です)
*「健康寿命」についての詳しい解説は、こちらから厚生労働省のページをご覧下さい

高齢期における気力や体力の衰えから、「もう出来ない」と自らの思い込みにより全てを諦めてしまうのではなく、自分が「出来ること」を見つけて社会活動に積極的に参加をしながら、心身ともに出来る限りの刺激を受け「楽しんでいきいきと暮らす」
それこそが「健康寿命」を延伸し、要介護リスクを減免してくれる秘訣である。

近年、医学界の分野でも「健康寿命」に関して、様々な角度から研究され報告がなされています。センテリアン(日本でいう「百寿者」)や同じ遺伝子を持つ双子についての研究報告では、「長生きの秘密は、健康寿命を延ばすことに大きな関連性を持っている」とされ、私達が永年信じて疑わなかった「長生きは個人の持つ遺伝子に左右されるもの」という既成概念は大きく覆されました。
つまり、人が運命的に制約される「遺伝子の差」に関わらず、「健康寿命」を延長するライフスタイルを保つことによって、誰しもが「長生き」を実現することが可能であることを立証してくれたのです。

ところで、「健康寿命」を延ばすライフスタイルの要素として一般的に挙げられるのが、「食事」「運動」「精神面」ということになります。「食事」と「運動」については、以前から専門的に研究が進められており、より明確な食物情報や運動量との関連性なども公開され、その効果も裏付け実証されてきていますが、近年では人間の「精神面」についても、その深層を探るべくフォーカスされてきており、「健康寿命」を脅かすと考えられる精神的な「ストレス」を中心に研究が深められてきています。

ところで、別記コラムでその詳しい「メカニズム」についてお伝え致しますが、「人体の老化」の発端となるのは、加齢によって自然発生する血管内部の「慢性炎症」であり、炎症による血液の流通機能としての役割低下が、細胞の活性機能を不活発にさせ、弱体となった細胞を徐々に死に至らしめることによって、目に見えるほどの「老化現象」へと導いていることが解明されてきています。

当初は、人間の「精神面」の中でも「ストレス」だけが、その「慢性炎症」の進行に関連を持つものとされてきました。ところが、最近の研究結果では新たな展開を迎え初めています。
実は、「慢性炎症」の進行を支配するものは「ストレス」だけではなく、人が欲求を果たす時の満足感と共に生じる「興奮」も大きく関与していることが判ってきたのです。
そして、ここでご着目を頂きたい点が、人が得る満足感による「興奮」には、「慢性炎症」の症状を「進行させる」ものと「抑制する」ものの2種類のタイプが存在するという真実なのです。

哲学めいた話しとはなってしまいますが、人類は巨大な生物に囲まれた原始時代の頃より、体格的弱者としての存在を克服するため、社会的集団活動を営みながら子孫繁栄を果たしてきました。つまり、遠い祖先の頃から、生存本能の一部として「社会的な共存共栄」や「相互扶助」を行った時、自然と喜びを感じるように脳や神経伝達系統にプログラムされ、行動も遺伝子レベルでコントロールされている可能性を秘めています。

故に、食欲や買い物、ギャンブルや性欲などの利己的な「快楽欲求」を果たすことによって、いくら満足感を得たとしても、それは人間に備わる本来の生存プログラムに相反する性質であり、結果、その時に生じる過剰なまでもの「興奮」は、急激な血圧上昇をもたらすばかりか、人体の「慢性炎症」を促進させるという悪影響を及ぼすことが判ってきたのです。
逆に、家族などを大切にする行動や社会貢献・ボランティア活動など世のため人のためにする行動。又は、社会活動に加わり「生きがい」を探求する行動などの目的が達成された時に生じる満足感からは、とても緩やかで穏やかな「興奮」が得られますので、先のような急激で危険な血圧上昇とは全く異なり、遺伝子レベルでも本来の生存プログラムに則したものと認識されるため「慢性炎症」の進行を抑制することに寄与し、「健康寿命」の延長に繋がると解釈されてきているのです。

さて、高齢期に入り込んでも、「生きがい」を模索しながら人生目標を再設定し、活発な行動を維持することは「健康寿命」を促進し、「老後を幸せに送る」重要な要素であることは間違いありませんが、行く先が不透明な日本経済低迷期の中で、将来迎える老後生活へのビジョンを思い描いた時に、「私達の老後生活は、本当に大丈夫なのだろうか」といった「漠然とした不安」が過ぎってしまうのが、現実のところではないでしょうか?

ここで、平成26年度の内閣府大臣官房政府広報室が発表した世論調査データをご紹介し、若干の補足解説をさせて頂きます。
(以下、(図○○)の部分をクリックすると、内閣府の調査データへと遷移を致します)

  1. 調査結果(図24)は、

国民が抱えている「現状の日常生活での不安や悩み」について、その具体的な内容について調査をした回答結果を表しています。
この図が示すように、統計上では国民の半数以上が「老後生活に不安を抱えている」ことが読み取れます。

  1. 調査結果(図25)は、

上記1の回答結果を年代別にグラフ化したものです。国民の「老後生活へ対する不安感」について、近年、その気運が一層高まってきていることが読み取れます。

  1. 調査結果(図8)は、

「現在の生活の資産・貯蓄の満足度」についての質問への回答結果を表しています。「やや不満」「不満」と回答した方は、統計上、国民の約6割にも及んでおり、その不満を感じている世代も高齢者世代から若年世代(但し、20才代は除く)へと末広がりに増加傾向にあることが読み取れます。

  1. 調査結果(図38)は、

「老後は誰とどのように暮らすことが良いか」についての質問への回答結果を表しています。「可能能な限り子供には面倒を掛けたくない」といった、一般的な親心が汲み取れる数字となっています。しかし、70才を超える頃から、「背に腹はかえられない状況」へと変化していくことが読み取れます。

以上の調査結果をご覧頂いた上で、皆さんにご着目頂きたい点として、現状の日本では「普段は口には出さない」けれども、実にこれだけ多くの方が、心に内在する「共通の不安や問題」を大なり小なりに抱えていらっしゃるという点です。

誰しも、将来の突発的に発生する災害や障害について、予期しながら廃除することはとても容易なことではありませんが、「はっきりとしない漠然とした不安」を常に抱えながら日常生活を続けるということは、既に精神的な「不健康期」への入り口に差し掛かっている兆候であるとも言えます。
そこでお考え頂きたいのが、多くの方が抱える「共通の問題や不安」を改善する余地は、全く何処にもないのだろうかという点です。
共通認識を持った私達の多くが、共に手を取り協力しながら試行錯誤を繰り返せば、必ず改善策が見つかり解決方向へ向かわせることが可能と考えられます。
そのためには、「はっきりとしない漠然とした不安」をいつまでも放置せず、現実に「老齢化社会」で起きている。又、今後予測される問題等について、詳しくその中身を見聞する必要があります。

このコラムでは、それらの問題点の抽出とその分析や結果についてご報告をさせて頂き、皆様からのご意見も伺いながら、老齢化社会における「共通の不安と問題」の解消へ向けたご提案をさせて頂きたいと考えております。
そして、私達がこれから採るべき社会活動を明確にした上で、皆様からのお力添えを頂戴しながら、その活動をより具現化して行きたいと願っております。

皆様におかれましては、この主旨を充分にご理解の上、共に永き「健康寿命」を得るためにご参加・ご協力を頂ければ幸いと考えております。

 

中・上級カウンセラーのあなたへ 〜 「人間力」「指導力」アップセミナーのお知らせ

あなたは、人と接するときにこんな悩みをお持ちではありませんか?

  • 人前では頭が真っ白になってしまって、うまく話せない…
  • 初めての人と会うのはとても緊張して、なかなか打ち解けられない…
  • 自分の言葉が正しく相手に伝わっているかどうか自信がなく、話の行き違いが起こる…
  • 仕事仲間や上司、部下となぜかうまくいかず、すぐ揉めてしまう。

 
あなたはこのような、人と接することについての悩みを抱えていませんか?

これらは、ボランティアや介護の現場などで人と接するときによくある困りごとのひとつです。でも、いちばん大きな問題に比べたら、これらはそれほど大きな問題ではありません。

その一番大きな問題とは「人と接するための、コミュニケーションの技術を知らない」ということです。

コミュニケーションを学ぶことで、あなたの知識をより大きく活かすことができます

すでに中級や上級カウンセラーの資格を持っている勉強熱心なあなたは、
きっと「せっかく学んだこの知識を、どこかで人のために活かしたい」とボランティアとして地域活動に参加されたり、介護・福祉などの現場で役立てることをすでに検討していらっしゃることだと思います。

あなたの持っている、シニアライフに関する知識は素晴らしいものです。
でも、あなたの持っている大事な知識を実際に現場で活かすためには、人と関わり、相手の方に信頼していただくためのコミュニケーション力も大事になってきます。

どれだけ素晴らしい問題解決のための知識も、
あなたがそれを相手に正しく伝えることではじめて活きてくるものです。

 
あなたは、そのコミュニケーション能力をどうやって身につけますか?

できるだけ多くの人と接してコミュニケーションを学んでいくのもとてもよい方法です。
時間をかけて試行錯誤しながら、やがて人と上手に接する方法を少しずつ見つけることができるでしょう。

でも、正しいコミュニケーションの方法を学ぶことで
あなたはそれよりも早い時間で、そして誰かを傷つけたり自分が傷ついたりすることなく、人と接することに自信を持つことができるようになります。

このたび開催される「人間力」「指導力」アップセミナーは、
こうしたコミュニケーションにまつわるさまざまな技術を、3日間で集中して身につけることができるセミナーです。
 

今回開催されるこの講座をうけることで、あなたは…

◎大勢の人の前に立っても、あなたは緊張することなく話すことができるようになります。あなたは自分のシニアライフに関する知識をより多くの人に伝えることができるでしょう。

◎あなたは初対面の相手とでも、すぐに打ち解けることができるようになります。相手の話すことを親身に聞くことができるようになり、カウンセラーとしても相手からの信頼を深めることができるようになるでしょう。

◎伝える力や理解する力について学ぶことで、他の人とのコミュニケーションが円滑になります。チームの仲間や上司・部下など、職場の人間関係がより快適なものになるでしょう。

◎コミュニケーションの基本は、仕事でも家庭でも同じです。コミュニケーション能力について学ぶことで、あなたは仕事上の関係だけでなく、あなたの家族とのコミュニケーションもうまくとれるようになるでしょう

 
 

講師は、釧路のカウンセラー養成講座でも講師を担当されている志村圭子先生です。

コミュニケーショントレーナーや人財育成のセミナーなどで、地元の釧路はもちろん、東京でも数多くの講座を開催され、たいへんご活躍されている志村先生の講座を札幌で受けることができる機会は多くはありません。

あなたのような、前向きにシニアライフカウンセラーを活かしてみたい、
もっと人の役に立ちたいと考えている方にぜひ受けていただきたい講座
です。

「人の役に立つこと」、それはあなた自身にも返ってきます。
コミュニケーションを学んで、あなたの周りの人を幸せにすることが、回り回ってあなたやあなたのご家族の幸せにもつながります。

ぜひあなた自身のステージアップのために、この講座を受けてみませんか?

講座の詳細

【日 時】6月23日(金)・24日(土)・25日(日)
     会場集合時間:9:20 講座時間:9:55〜16:30(途中休憩あり)
【受講料】98,000円(教材費込み)
【会 場】6名まで / シニアライフサポート協会
     6名以上 / プリンスホテル

講座内容


1日目 6月23日(金)

緊張を克服! 人前で話すチカラを磨くレッスン

会議でのプレゼンテーションや会合でのスピーチなど、大勢の人の前で話すとき「緊張してうまく話せない」と不安なあなたのためのレッスンです。

内容
◎滑舌・発声練習 ◎自己紹介の仕方
◎好感度の高い話し方とは ◎立ち姿・姿勢・目線の配り方など

 


2日目 6月24日(土)

伝えるチカラ・理解するチカラを身につけよう!

コミュニケーション能力の向上に欠かせない「伝える技術」と「理解する技術」を学び、あなたの職場での課題解決やビジョン確立に活かしましょう。

内容
◎言語・非言語コミュニケーションとは ◎信頼を得るためのスキル
◎価値観の違いについて ◎傾聴など

 


3日目 6月25日(日)

信頼関係を築く!心理学コミュニケーション

会社の成長のために必要な人財やクライアントとの信頼を深めるためな心理学の基本を学び、より相手を理解し接するコツを学びましょう。

内容
◎リーダーシップ発揮のために必要なこと ◎課題解決能力を高めるレッスン
◎心の栄養とは ◎コーチングなど

 


 
講師 志村 圭子(コミュニケーションカラースクールSion代表)

武蔵野大学(人間関係学部 人間関係学科 心理学専攻)卒業。
北海道コミュニケーションカラースクールSion代表であり、認定心理士・AFT1級の資格を持つ。
一般財団法人日本教育推進財団認定コミュニケーション・トレーナー、日本コミュニケーション能力認定協会 本部トレーナーとして主に東京・札幌・釧路にて心理学をベースにしたコミュニケーションを展開中。
また、ビジネスマナーをからめた人財育成のセミナーを行う。さらに、好感を持たれる似合う色のビジネススーツ等の提案や、社員のモチベーションをあげるレイアウト(模様替え)変更を提案する。

お申し込み

このセミナーへのお申し込みは…
以下の申込フォームに必要事項をご記入の上、送信ボタンを押してください。折り返し、詳細やご入金の方法についてお知らせいたします。

※お電話でも受け付けております。 TEL.011-200-0947(月曜〜土曜 10:00〜18:00受付)

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携帯電話のメールアドレスから申込を行い、返信メールが届かない…というお問い合わせが増えております。ご応募はできるだけ、パソコン用のメールアドレスからご応募いただくことをお勧めしております。

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また、GmailやYahooなどのWebメールでは、まれに当協会からのメールが迷惑メールに入ってしまうことがございます。もしメールが未着の場合は、迷惑メールフォルダもご確認下さい。

シニアライフカウンセラー限定!「生涯あんしんサロン」説明会

「生涯あんしんサロン新川」のボランティア講習会を行います。

参加費
無料

開催日と内容

2017/6/6(火) 時間 12:00~13:30
〜ボランティア講習会〜

ボランティアの基本のマナー講習会を行います。

担当:シニアライフカウンセラー・新川サロン責任者 有馬 敬子

会場
シニアライフサポート協会

認定者インタビュー:矢野哲夫さん(上級シニアライフカウンセラー)

今回は、シニアライフカウンセラー養成講座上級まで受講された矢野哲夫さんにインタビューさせていただきました!

ご本人も72歳と、シニアライフにまつわることが自分ごともになりはじめている矢野さん。同世代目線での貴重なお話を伺うことが出来ました。

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